群れは生き残る@ゲーム・オブ・スローンズ
第七章最終話、サンサはアリアにこう語りました。
「When the snows fall and the white winds blow, the lone wolf dies but the pack survives」
(雪が降り白い風が吹いた時、孤独な狼は死ぬが群れは生き残る)
これは原作に於いてエダードが常々語っていた言葉。
その言葉の示唆として、アリアとナイメリアの再会する描写がありました。
アリアは王都へ向かおうとしましたが、ホットパイとの再会後ウィンターフェルに戻ることを選択し、その途中でナイメリアに再会しました。
ナイメリアは孤独な狼ではなく、群れと一緒でした。
スターク家の子はバラバラになった
まず、落とし子としてのジョンは第一章でナイツウオッチになるため、黒の城へと向かいました。サンサとアリアは王都へ行くためウィンターフェルを去った。
そして、父エダードが捕らえられた直後、長男のロブは北部軍を率いて出陣。
ウィンターフェルに残ったのは幼いブランとリコンだけ。
エダードが処刑された後、サンサは捕虜として赤の王城で軟禁狂態となり、アリアはナイツウォッチのヨーレンに連れられ王都を去りました。
第二章では、シオンによってウィンターフェルが襲撃され、そこから脱したブランとリコンは北の壁に向かって旅を始めます。
第三章、長男ロブが死んでしまう。
そしてブランはジョジェンらと壁の向こうへ行く決意をし、リコンと別れます。
このように、スターク家の子たちは生死含めてバラバラになり、ジョンを含めた4人それぞれの苦難の旅路を描き続けてきたわけですね。
スターク家の子たちはすべてが変わってしまった
ジョンは死も含め、運命的にも指導者への道を進んできました。
彼は目下、死の軍団への対処のために行動しています。
サンサは当初、兄弟の中で最もスタークではありませんでした。
彼女は北を毛嫌いし、南に憧れを抱く夢見る夢子さん。
ラニスターに囚われの身ながらも、北部を懐古することはなかった。
しかし、王都を脱出した後、高巣城で雪を見てウィンターフェルを懐かしく思い出したりと、変化し出したのです。
そしてボルトンが支配するウィンターフェルに戻ったサンサは、「ここは私の家」という意識が強まりました。
その頃からサンサは兄弟の中で最もスタークとなりました。
アリアが復讐したいがために辿り着いたのは「顔のない男」
彼女は「No One」になりたくて必死にスタークを否定していましたが、結果的に「アリア・スターク」であると断言し、危険な暗殺者となった。
ブランは三つ目の鴉のもとへと行き、自分自身が三つ目の鴉となった。
彼はスターク以前に”ブラン”という人格さえなく、家族も含めた個人的なことに関心がありません。
このように、スターク家は長男と末っ子が亡くなりましたが、生き残っている子らはこれほどまでに変化したため、各々は一匹狼に近い。
だからこそエダードの言葉
狼の群れは依存し合うという意味ではなく、それぞれの持つ能力で補っていくならば、共同体として強くなれるということではないか?と思います。
ドラマは長いこと、サンサ、アリア、ブランがそれぞれ能力を身につけていくための苦難の道を描いてきました。
特にサンサは成長著しいキャラです。
第一章でウィンターフェルを去った頃と比べれば、第六章でボルトンから奪回するとジョンに訴えたサンサの違いが如実です。
彼女は魔法に無縁の泥臭い政治を見てきた。
駆け引き、裏切り、偽善などなど人間社会の汚れた部分を目の当たりにし、良くも悪くもサンサはサーセイやリトルフィンガーから多くを学んだ。
第七章で三人は再会を果たします。
しかし、一番困惑していたのはサンサです。
自分の知らない世界が突然やってきたようなもので、アリアとの緊張感ある描写はサンサが互いに尊重し合い、足りないものを補う関係を築き出すことに気づく話だったのだろうと思います。
互いの持つ力によって強くなれる=群れ
サンサの衣装は自分を守るため、小さな針形の武器を携えているデザインでした。
その彼女には今、「針=ニードル」を武器にしたアリアがいます。
リトルフィンガーの誤算
リトルフィンガーへの裁判は、彼の策略が基で結果的にバラバラになってしまったスタークの子らによるもの。
リトルフィンガーは自分の目的だけのために動いていました。
サンサにスタークの自覚をもたらし、ウィンターフェルの奪回に成功させ、自分の目的に近づいたと考えていたでしょう。
しかし、ウィンターフェルはブランやアリアの帰る場所にもなった。
リトルフィンガーはスターク家の生き残りはサンサしかいないと思っていた。
彼はサンサにあらゆる想定をしておく必要性を語っていましたが、生き残りの子が戻ってくることは誤算だったかもしれません。
しかもブランとアリアを見くびっている側面もあった。
リトルフィンガーはスターク家の崩壊に導いた張本人ですが、予想外の形で再生させたことになります。
彼は「混沌は梯子」とヴァリスに言っていました。
彼にとって混沌の梯子は「スターク」だったというオチかもしれませんね。
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