MGSV:TPP ヒューイと「燻製ニシンの虚偽」
特に深読みが好きな人にとっては「あれはこういう意味じゃないか?」と考える醍醐味まで与えてくれてます(強引に肯定的に受け取るならばぁ~ですが)
さて、「MGSV:TPP」に於いて、ネット上で賑わっている「ヒューイは裏切ったか?」「ヒューイが犯人なのか?」という点。
これは「燻製ニシンの虚偽(レッド・へリング)」に当てはまると思います。
「燻製ニシンの虚偽」とは、
たとえば、まったく無実な人間を疑わせるように描写し、色んな騙しの仕掛けによって意図的に誘導する手法です。
簡単に言うと「ミスリード」ですね。
これはサスペンスやミステリーものの小説や映画などでもよく用いられています。
真犯人を隠し、別の人物を怪しませる。
ヒューイはこれに当てはまると思います。
カズやオセロットが声高に「お前が犯人だ!」と言い、さも怪しいとする証拠を挙げていく。兵士たちも煽られ、ヒューイを責め立てる。
プレーヤーも同様に「ヒューイのヤツ!許せん!!」となった。
しかし、中には「その証拠自体が腑に落ちない」として、誰かがヒューイを犯人に仕立て上げてたのでは?と検証してる方もいます。
なかなかの洞察力。
加えて、その時のヒューイは小島さんと同じ眼鏡であるという指摘もあり、彼自身を投影していたんじゃないか?という意見もありますね。
小島さんはヒューイに自分を重ねたと。
そのヒューイを処刑せず、ゴムボートで追放したのはヴェノム。
ヴェノムがプレーヤー自身だとするなら、プレーヤー(ファン)は小島さんに生き残るチャンスを与えた・・・という解釈にも繋がります。
勿論、ヒューイの後日談は別としてですが。
ちなみに「燻製ニシンの虚偽」には、主人公ではない登場人物を「主人公」であるように見せる演出も含まれるそうです。
TPPはプレーヤーの心理をも操り、人は如何に容易く誘導されてしまうかを体験させたゲームとも言えます。
そもそも、プレーヤーが必死に築き上げた「ダイヤモンドドッグズ」
カズとビッグボスが始めた「国境なき軍隊」を基盤としていましたが、その組織そのものは「正義」なのかどうなのか?です。
前回も触れましたが、傍から見れば「得体の知れない武力集団」です。
その集団はビッグボスに魅せられ服従。完全に「ファシズム」です。
ダイヤモンドドッグズでは、そのビッグボスの身代わり自体が洗脳されてます。
プレーヤーもビッグボスだと思いながらプレーする。ファントムだと気づいていても、やがて彼こそ理想的なリーダーのように思えてくる。
確かに、ダイヤモンドドッグズは国や人種や宗教も関係なく、あらゆる違いを超えてひとつとなった。
しかしそれは偉大な”ビッグボス”の下、偉大なものに属してるという帰属欲求を満たす組織でもある。
カズは9年もの間、如何に”ビッグボス”が大きな存在であるかを痛感した。そしてビッグボスに対して傾倒が激しくなり、敵に対して憤怒する感情が肥大化したように思います。
んん~、ミッションでEランクであっても、カズが嫌味を言わなくなったのはそのためか?(苦笑)
もしカズの心理的変化をあの一言にも反映させていたとするなら、凄いなぁ。
ヴェノムの悲愴…
そしてラストの解釈も色々ですね。中途半端に終わったせいもありますが、十人十色のストーリーが脳内で出来上がったのかもしれません。
まぁそういうのもアリかな?と思います。
で、私の勝手な想像(念を押しますが私個人の妄想です)
ヴェノムは自分が誰かを思い出した後も操られていたんだと思います。洗脳というか、コントロールされやすい状態にあったかもしれない。
ビッグボスのメッセージは、まるで「ポータブルOPS」のジーンのように、聞く者の意識に影響を与えてたとしたら?
尊敬している偉大な人から認められた・・・ヴェノムは心底喜びます。そして何の疑いもせずにビッグボスの指示に従っていく。
しかし、最初からヴェノムは利用するだけの捨て駒です。
オセロットは「地獄へ行く時間が伸びるだけ」「ボスは一人でいい」と言った。
ラストはその地獄へ行く時間が訪れた。
それに気づいたヴェノムは、FOXHOUNDの隊員ソリッド・スネークの前にあえて姿を現した。「これがビッグボスの正体だ!」と訴えたのかもしれない。
人の心を握りしめる強大なカリスマ性の恐ろしさ。
(それでスネークは組織に属することをせず、英雄視されることも拒否してた…そう結びつけてみる)
殺戮を「是」としていなかったメディック。
だから本来の彼は「兵器を必要としない世界、俺たちを必要としない世界」を望んでいた。
蜂起の最中、彼はビッグボスのコントロールが解け、ようやく我に返った。
気づくと大量殺戮兵器を従えていた自分がいた。
鏡に映っていたのは変貌していた己の姿。
ヴェノムの鬼化。
余りにもやるせない。
覚醒した本来の彼は、ビッグボスに成り代わっていた己を殴る。
そして殺戮兵器を道連れにし、自分も含めアウターヘブンが消えるであろうことに安堵する。
「ソリッド・スネークよ、お前に俺の望みを託す。ビッグボスを止めるんだ」
「ヴェノム・スネーク」…語られることのなかった男。
彼の存在も名前も知られることはなかった。
そう、あなたが目撃する”この時”までは。
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