MGSV:TPP ラストなどの考察 その2
そこで「ヒューイは本当に裏切ったのかどうか」という点について、意見が出ていることも知りました。ザっとネットで見ていると、国内外共に「ヒューイは裏切った」という意見が多いように思います。
ヒューイは裏切り者なのか?
まず「ヒューイは仲間を裏切った」というカズの主張から始まっていましたし、その件についてのヒューイの弁明は単なる言い逃れのように聞こえてきます。
ヒューイが疑われるのは、彼が話してる内容の矛盾や二転三転してることも要因。
そもそも核査察団の受け入れを無断で了承した時点で「怪しい~」と思われても仕方ないんですが、彼がMSFの在り方に懸念を持たれないように…という理由は納得できるものです。
現にMSFは世界中から「脅威」として映っていた。
パスはテープの日記で「それこそが脆弱性だ」と指摘していました。
そりゃ傍から見たら「テロリスト」と何ら変わらない。
だからこそ、ビッグボスはイザという時のための抑止力として核保有に至ったわけです。考えれば恐ろしいことです。
得体の知れない武力集団が核を持ったと想像して下さいよ。
その懸念を払拭した方が良いと考えたのがヒューイ。
1975年の時点でのMSFですが、カズはサイファーと繋がりを持っており、サイファーの手足となっていた。
ゼロは着々と各方面を統制し世界を掌握してきた。
ですから軍事力でサイファーに貢献するMSFは、スカルフェイスに目をつけられてしまった。キャンプ・オメガを見ればわかる通り、XOFにとっては邪魔です。
オセロットもその件についてビッグボスに「やり過ぎたのです(組織を強大化させ過ぎた)」と語ったことからもわかります。
パスはPWの展開後、スカルフェイスに捕まったことがGZで明らかに。
無謀なチコは助けようと突っ走り、彼まで捕まってしまった。
GZの冒頭「お前は仲間を売った。これで一人前の兵士だ」とスカルフェイスはチコに言った。このことから、チコはMSFの情報提供や、ビッグボスをおびき寄せるための指示に従ったことがわかります。
彼はそれによってパスを助けられると信じていたんでしょう。
次いでスカルフェイスは「トロイの木馬が侵入した」と告げた。
これは「ビッグボスがキャンプ・オメガに着いた」と「核査察団を装った部下がMBに到着した」のダブルミーニングかもしれません。
この時点(GZ)で、スカルフェイスの思い通りに展開してたということ。
プレーヤーはビッグボスとして懸命にチコとパスの救出。
しかし・・・という展開がプレー後に起きて唖然。
さて、そこで肝心なのは、スカルフェイスとヒューイは事前に接点があったかどうか?でしょう。
私は核査察であることをヒューイは信じてたと思います。
スカルフェイスのことですから、言葉巧みに相手を操ることなど容易なことです。伊達にFOXの裏で動いてきたわけじゃない。
そして彼は科学者として利用されるため拉致された。
ですから、その辺の経緯は彼の話していた通りだと思います。
ヒューイはMBが崩壊したことを後々知ったのかもしれません。
仲間たちがどうなったか想像はつくでしょう。
自分が核査察団だと信じたばかりに招いた悲劇です。
そもそも、XOFがMBに乗り込めたのはビッグボスが留守だったから。
パスとチコの救出を急ぐことになったのはヒューイが仕組んだことではなく、スカルフェイスの計算通りってことです。
ヒューイはMBから出る必要があった
「MGS2」に繋げないといけないため、ヒューイを死なせるわけにはいきません。ヒューイがMBから追放されるという展開は単なる後付けでしょう。
彼が本当に裏切ったのかどうかは、さして重要な問題ではないと思います。
スカルフェイスに囚われてる間に、子供(ハル)が生まれましたが、どういう状況下でストレンジラブとの間に子供ができたのか不明。
ストレンジラブが亡くなりヒューイがダイヤモンドドッグズに行った1984年時点で、ハルはどうしていたのかも不明。
後々ヒューイは息子のハルと一緒に暮らしてたことはわかってます。しかしMB追放後のヒューイがどういう経緯で息子と一緒になったのかは不明。
ヒューイは別の女性と結婚し、どのような最期を遂げたのかはわかっています。
既にこのようなストーリーが出来上がっていたので、それを覆すことはできません。少なくともヒューイは生きてMBを出る必要があった。
ではなぜ「裏切り者」としてプレーヤーにも嫌われるようなキャラになってしまったのか?
ヒューイの最期が惨めなものでしたからね。
それにヒューイより先に登場してたオタコンに似せた部分があると思いますよ。
スネークに出会った頃(MGS1)のオタコンはどことなくズレていた。
オタコンは逃げていた。だからエマとは疎遠になっていた。
それを踏まえ、親であるヒューイの人格を考えた時、オタコンに通じるものを取り入れる必要があったと思います。
しかしオタコンの場合、スネークと出会ったことで精神的に成長をしたんです。
自分の責任や罪から逃げないこと。自分が犯した過ちは自分で終わらせることをスネークから学んだ。
ですからオタコンはDNAとか遺伝とか血筋だけで全てが決まるわけじゃない・・と示したキャラのような気がします。
その対比のため、ヒューイはとことんダメな人間に仕立て上げたのかも(超憶測)
ヒューイの功績はハルとエマを結び付けたこと
MGS2で重要な役割を果たしたエマ。
オタコンの義理の妹。
彼女は死して尚、MGS自体の結末にも大いに絡んでいました。
GWを破壊するワームクラスター。
MGS4ではエマ作成のデータがベースとなり、ナオミとサニーが手を加え愛国者達(AI)が終焉しました。ヒューイ自身がどんな男だったにせよ、彼の存在があったからこそのハルでありエマだったことには違いありません。
プレーヤーは物語の結末を先に知っています。
ですが、2014年の結末から時代を遡った後付けのエピソードに憤っています。
滑稽ではありませんか?
「この先、どう転ぶかわからない」じゃなく、MGSでは既にわかってる。
彼は惨めな男・・・ただそれだけのこと。唯一言えるのは「息子(ハル)が同じ轍を踏まずに済んで良かった」ってことです。
それは同時にビッグボスとソリッドの違いでもあるでしょうね。
ソリッドは自分の生きる道筋でオタコンを導き、生きた証を彼に遺した。
「僕がスネークを見守る。スネークの全てを記憶する」――ヒューイの息子ハルは余命僅かなソリッドにそう語り、「MGS」は幕を閉じた。
結局ビッグボスに裏切られていたカズ
どの段階でカズはヴェノムがファントムだと知ったのかはわかりませんが、それによってボスに敵対心が芽生えたという描写としてテープでの会話にありました。
これも既に出ているゲームに繋げる必要があるからです。後にカズはソリッド・スネークをサポートし、リキッドに殺害されたという設定になってる。
カズはボスを信じていた。
だから自分を必ず救い出してくれると思っていた。
ゼロからボスが目覚めるまで準備をしておけと言われ、ボスと共に再建するための「ダイヤモンドドッグズ」を立ち上げていたカズ。
ボスが偽者だなんて思っていなかったわけですからね。
しかもMBを大きくしていく過程で、知らぬ間に本物のビッグボスのための目逸らしになっていた。
実際にスカルフェイスはヴェノムがファントムであると知りながら、自分の活動の邪魔になっていたので対処せざるを得なかった。
ヴェノムがスカルフェイスとゴタゴタやってる間、ビッグボスはFOXHOUNDの司令官として動き、その傍らザンジバーランドを…ということだったのでしょう。
カズはその計画に利用されただけです。
スカルフェイスがPW時のMBを破壊したわけですが、ビッグボスは自分の手で報復することはしなかった。ヴェノムに任せたという点もカズにとったらショックだったでしょう。
何故ビッグボスはFOXHOUNDにいたのか?というと、恐らくは身の安全のため。
FOXHOUNDの設立はビッグボスでしたから、戻ったというカタチになります。
それにミッションの「惨劇の生存者」でもわかる通り、部下でさえビッグボスの顔を知らなかったですからね。
MSFのことは黙ってればいいだけです。
オセロットは事前にゼロと合意していましたし、FOXHOUNDにいれば危険が及びにくいと考えたのかもしれません。
ファントム自体がゼロの計画だったので、そこら辺はちゃんと準備はされてたでしょう。しかもゼロは姿をくらませ、ビッグボスは顔を合わせる必要もなかった。
誰が悪に堕ちたのか?
ビッグボスは居場所が見つかり、襲われる危険が迫ってることを事前に知らされました。その際、病院の職員や患者が犠牲になることを承知していた。
オセロットとの会話(テープ)で明らかです。
そしてメディックが自分の身代わりとなり、「彼は地獄へ行く時間が伸びるだけ」というオセロットの言葉に従った。
自分の目的のためなら、他者の命や人生を犠牲にする。
それで「悪に堕ちる」というキャッチコピーになったのかな?と思えます。
あの病院から救急車で脱し、襲われてる最中にひっくり返った後、ビッグボスはオセロットの手引きで救急車から出て、バイクまで用意してもらってました。
その間、ヴェノムは救急車の中に一人取り残され、気を失ってぶら下がっていた姿は切ないですよね。
尊重されてないってのが滲み出てました。
オセロット「ボスは一人でいい」
――これは最終的にヴェノムを切り捨てると断言してる。
ラストのヴェノムの鬼化はそれと関係してるんでしょうか?
オセロットは(良い悪いは別として)ビッグボスのためなら何でもやる男ですし。
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