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【解説】最終章#1なぜ北部ではもめてるのか?@ゲーム・オブ・スローンズ

最終章第一話は、思っていた通りの問題が生じ始めましたね。
以下は最終章のネタバレを含んでいます。未見の方は注意。



「サンサひとりで嫌みったらしくなってる」と勘違いしてる方もいると思いますので、ここで改めて過去シーズンに於ける「北部」に関することを振り返ります。

第一章は北部の混乱が生じた


ご存知の通り、キャトリンがティリオンを捕らえたことがキッカケです。
それによりジェイミーはエダードを襲いました。その報せは北部にも伝わり、シオンはロブに「戦争だ」と煽ったことを覚えているでしょう。

その時ロブは「家の問題」であるからシオンに口を出すなと言いました。
しかし、エダードが謀反者として捕らえられたことによって一転。ロブは北部の諸侯たちに召集をかけ、ラニスターを相手に戦いを開始しました。
これはスターク家だけの問題ではなく、北部の問題となったわけです。

ロブは拘束されている父、妹たちの解放を目指して南下していきますが、エダードは処刑されてしまった。
それがキッカケで北部の諸侯たちも本格的に立ち上がった。
ロブを「北の王」と宣言。
それは、どこからも支配されない独立国家としての北部だと、自ら宣言したことになります。

第二章以降、北部は不安定となった


そのキッカケを作ったのはシオン・グレイジョイ。
シオンは父親の名誉、自分の力を誇示したいがためにウィンターフェルを襲いました。それはロブの立場を陥れることになり、ロブは自分の拠点・城を失った「王」となってしまいました。
「北の王」とは名ばかりになり、軍は徐々に求心力を失っていきます。

やがてウィンターフェルは焼かれ、ブランとリコンはそこを出て、北の壁に向かって旅を始める・・・という流れ。

ドラマでは具体的に描いてはいませんでしたが、グレイジョイの兵士らは北部のあちこちを襲い掛かりました。
鉄の兵たちは北部を混乱に陥れたんです。

その鉄の兵を追い払ったのは、ルース・ボルトンです。
しかしそれも北部の平和には繋がらなかった。
グラヴァー公はボルトンのお陰で鉄の兵を追い払えたと言っていましたが、北部総督がボルトンになったことで、以前のような北部を取り戻したとは言い難かったのです。

そのボルトンと戦おうとしてたのはスタニス・バラシオン。
「真の王である」と主張していたスタニスがボルトンと戦って勝ったとしても、スタニスは南部の人間です。
北部総督にはなれません。
ジョン・スノウはサンサ、アリア、ブラン、リコンの居場所を知りません。
肝心のスタークはバラバラなままでした。

第六章でウィンターフェル奪回~北部の確立


野人や谷間の兵も加わりましたが、ウィンターフェルの奪回に成功します。
それ自体がスタークによる「北部の奪回」なのです。
土台が不安定なまま、ジョンとサンサはボルトンに戦いを挑んだわけですが、「自分たちの手で取り戻した」という意識は強い。

しかも、サンサは政治的な観点で物事を見ることができるよう成長しました。

そして、北部をひとつにまとめるため、ジョンは「北の王」と宣言され、ロブの時と同様に独立国家としての北部の確立を望んだ格好。
北部にとって落し子であるトメンから支配されるより、スタークの血が流れているジョンを王にすることの方が納得できるでしょう。

ジョンは死の軍団と戦った経験があるため「脅威との戦い」に主点を置いています。一方のサンサは、「戦争は政治的外交手段」という見方をしてます。
この食い違いが第七章で描かれました。

民が望むのは何?
それは平安です。
安心して暮らせることです。
けれども現在の北部は、北と南からの脅威に挟まれてる状態。
ジョンは北からの脅威にしか対策をしていません。しかも南からデナーリスを引き連れて来ました。

デナーリスの戦力を借りるため、ジョンは「独立国家」としての北部を放棄したのです。ジョンは死の軍団に勝って生き延びるためには、「王だの独立国家だの言っていられない」という考え。

一方のサンサはスターク家が代々行ってきた「北部を守る」という役目を自覚し、サーセイの脅威も心配していたところです。

北部の諸侯からジョンは所謂「北部」のアイコンとみなされたと思います。北部は長らく正義と指導力のある中心的人物が欠落していました。
ですから、ジョンが落し子であろうと「北の王」と宣言されたのは、「力強い北部」を望んでいることの象徴だったのでは?と思います。

サンサはそれを理解しています。
だからこそ、自らデナーリスに忠誠を捧げ「北の王」を返上し「北部総督」となったジョンに戸惑っているのです。

サンサが食糧の問題を投げかけたのも、デナーリスへの嫌味ではなく、民のこと考えなければならないことを主張したのです。
デナーリスは北部を知りません。
ティリオンがかつて、ミッサンデイとグレイワームに「スタークはエールに落ちたハエに”エールを吐き出せ”と言った」というジョークを話していましたが、ハエが飲み込んだエールも無駄にできないほど、寒く暗い北部では食糧確保が困難です。

デナーリスは奴隷を解放し統治した経緯があります。
しかし北部の民は奴隷ではありません。

北部は自分たちで宣言した「北の王」を2人失いました。
またも結束力が低下しそうな状況の中、死の軍団との戦いが待っています。
それをどう建て直し、南北の脅威に立ち向かうかが終盤まで描かれるかもしれません。

「サンサって嫌味な女」という風な意見を見ることがあるんですけど、彼女はもう「夢見る夢子さん」ではなくなりました。
お花畑で蝶と戯れるお嬢様ではないのです。

過去シーズンこのような背景もあったなぁ~ということを意識して見ると、また違った認識になると思います。


◆余談◆
最終章の放送前、キャラクターの画像が公開されました。
その時「ジェイミーの着ている甲冑は北部のものっぽい」と思っていましたが、ロブが着ていたのと同じですね。








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