字幕の弊害@ゲーム・オブ・スローンズ
「長靴」を「ちょうか」と読むのかぁ~と唸ったり。
しかし、台詞に於いて何か意味を込めている場合があるにも関わらず、それを言い換えてしまうケースも度々あるんですね。
吹き替えではどのように言っているかわかりませんが、字幕ですと英語圏のファンが重要視している台詞に気づかないことがあります。
ウィンターフェルは常にスタークでなければならない
※画像はアイアンマンのトニー・スターク・・・遊びました(笑)
まず代表的な台詞は「There must always be a Stark in Winterfell」(ウィンターフェルは常にスタークでなければならない)です。
日本語字幕では、普通に「ここに残っていなさい」というニュアンスですので、特に気になることはないんですね。
第一章、暗殺者が持っていたヴァリリアの短剣の持ち主は誰なのか調べるため、キャトリンが王都へ向かうと話していたシーン。
「自分が行く」とロブが言った時、キャトリンは「There must always be a Stark in Winterfell」と言って、ロブには残るようにと告げた。
そして同じく第一章、捕らえられた父エダードを取り戻すため、ロブは北部の諸侯たちを率いて出陣する際、一緒に行くと言ったブランに「There must always be a Stark in Winterfell」と言って、自分の代わりに城主として残るように告げた。
ですから、その言葉はとても重要な意味があるのだろうと思われていますし、「なぜスタークじゃなければならないんだ?」という風に注目されている言葉。
日本語字幕ですと完全にスルーしていますので、残念ですね。
「飛べる」と「空を飛べる」では似てるようで違う
第四章でブランは三つ目の鴉のもとへ辿り着き、ブランは「歩けるようになる?」と尋ねた際、三つ目の鴉は「You will never walk again, but you will fly」と答えました。
日本語にすると「再び歩くことはできないが、飛べるだろう」です。
字幕では「空を飛べるだろう」となっていました。
「飛べる」は「時空」も含めている可能性もあるのに、日本語の字幕は「空」と限定してしまっています。
第七章のアリアの台詞
これは当ブログでも触れました。
第一章、アリアが父エダードに言った「That's not me」と重ねた台詞であるということ。その第一章での字幕は「私は違う」となっていました。
そして第七章では「That's not you」を「あなたらしくない」と表現。
これでは気づきませんよ。
第一章での字幕で「私らしくない」となっていれば、繋がりとして気づく人も多かったかもしれません。
もっともコアなファンぐらいしか気づかない台詞ではありました。
英語圏のカジュアル・ファンの中にも、「アリアはあの狼をナイメリアだと思ったが、そうじゃなかった」と思い込んだ人が多かったとか。
「この奇妙な国」と「よそ者」
第七章、メリサンドルがヴァリスに語った時の台詞。
字幕は「よそ者としてこの国で死ぬ」というような表現でしたが、実際は「I have to die in this strange country, just like you」という台詞です。
メリサンドルはウェスタロスを「strange country」と言っていたんですが、字幕はそれを「他国(他所の国)」とし、”よそ者”として表現したようですね。
確かにメリサンドルとヴァリスはエッソス出身者ですので、”よそ者”ではありますけども。
二人の会話の流れは、
メリサンドルはウェスタロスを離れヴォランティスに戻ると告げ、ヴァリスが「その方がいい」と言った後の台詞です。
メリサンドル自身とヴァリスの運命を予言として示唆した台詞であり、「この奇妙な国」であればウェスタロスが死者に襲われる状況になることを指す言葉に繋がります。
ともかく「よそ者として」という表現は意味不明であり、メリサンドルの台詞の意図からしても違うだろうと思います。
ドスラク人たちや穢れなき軍団もよそ者ですからね。
「知られていることです」と「何も知らない」
これも当ブログで触れました。
ドスラク人女性がデナーリスに言う「It is known」
そしてイグリットがジョンに言う「You know nothing」
デナーリスとジョンは繰り返しそれぞれの言葉を聞かされます。
共通しているのは、デナーリスに対してもジョンに対しても「知らない」を匂わせてる言葉です。
特にドスラク人女性が言う「It is known」は、字幕ですと表現がまちまちなので気づきにくいんですね。
既に「知っていること」とか「周知していること」というように、デナーリスにやんわり教えているニュアンスの言葉ですが、字幕表現も統一してくれたら良かったのにと思います。
エッドの名が字幕ではスルーされ続けた
次は重要ではないんですが、しばらくエッドは字幕で名を加えてもらえなかったことですね(苦笑)
第二章の最終話、”最初の人々の拳”でサムたちはホワイトウォーカー出現を警告する、三回の角笛を聞き、グレンとエッドがサムを置いてきぼりにして逃げたシーン。
字幕ではサムの台詞が「グレン!待って!!」と表記されていました。
実際の台詞は「Wait! Wait! Grenn!! Edd!!」です。
「Edd」を「待って」に変えてしまったんですねぇ。
「Edd」が「Wait」と聞こえなくもないので、誤魔化された??
第三章、帰途についていたナイツウォッチの列。歩くことができないサムに気づいたグレンがエッドを呼び止める時も、字幕では「エッド」と名が出ませんでした。
日本のドラマファンの多くは、エッドが「エッド」という名であることを知るのは、ずいぶん後になったんですね。
エッドは第二章から登場したキャラクターですが、大した役割はないだろうと思ってスルーしていたんでしょうかね?
第四章でクラスターの砦、第五章では堅牢な家へジョンと同行することを積極的に行い、第六章では重要な役割を持ったキャラクターでしたが、登場当初は字幕で名無しでした。
名無しが最終章まで生き残るとは思わなんだ~ってか?(苦笑)
字幕は文字数が制限されていたり、パッと解釈できる言葉を使う必要があることは知られていますが、字幕ゆえの弊害として「気づかない」という部分が多く生じるのは残念です。
台詞の中にはとても重要な意味が込められているケースもあり、それを字幕ではスルーしてしまうと面白さの半減に繋がります。
まぁ「ロード・オブ・ザ・リング」のような字幕騒動が起きるほど酷くはありませんけどね(苦笑)
「夜は暗く、恐怖に満ちてるゆえに」を「夜は暗く、恐ろしい」と軽い普通の言い方に変えてしまい、最終的に「夜は暗く、恐怖に満ちてり」とリズム感を良くした上に重厚な言い回しに変えたりと努力もしていますし…。
しかし、第三章の字幕では「戸田奈津子みたいだぁ~」という表現があって、モヤっとしたかもだ。
たとえば、ジョフリーの「花など」
やたら戸田風味に「などなど」がくっついていました(笑)
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