夜の王は「悪」なのか?@ゲーム・オブ・スローンズ
注)長い記事の上に理屈っぽいです。
「悪」の位置づけ
物語に於いて、人間の悪者も登場しました。
サーセイ、ジョフリー、リトルフィンガー、ラムジーなんかが代表的ですね。
「人間の悪というのは、選択によるものだ」とD&Dは語ったそうです。
確かに人間は常に選択しながら生きています。
「今夜は何を食べよう」「何を着よう」etc・・・・、それ以外でも無意識のうちに選択しながら行動していると言えます。
その選択肢の中から独り善がりなことや、保身などの自己都合でチョイスし、それが「悪いこと」に繋がる場合もあります。
性格も反映されるでしょう。
それらが重なった時、一般的に位置づけている「善」「常識」から外れると「悪」とみなされる。
ラムジーは当初、落し子という身分で蔑視されていました。
心の奥底で父親から認められたいという願望が強かったのでは?と思います。
それはウィンターフェルを襲撃した時のシオンと同じ承認欲求でした。シオンとは似た者同士だったかもしれません。
しかし「拘束する者」「拘束される者」となり、落し子でありながらラムジーはシオンに対して優位な立場になった。
ラムジーにとって父ルースに認められるチャンスでした。
そして悲願だったであろうボルトン姓を与えられたわけですが、婚姻によって誕生した子供より立場は弱い。
そこで彼が選択したのは、邪魔者を消して自分の立場を確固たるものにするということでした。
では、夜の王はどうか?
夜の王に関してD&Dは、「人間のような選択肢があるわけではなく、死を与えるだけだ」と語っていたそうです。
「死」に対してどう意味づけするかは人間であり、夜の王には「死」の意味や理由はないということです。
人間は死を忌み嫌うものですから、それをもたらす夜の王を敵対するのは当然のことでしょう。
私たち人間は、自分の生活、生命を脅かすものを「悪」とみなします。
病気をもたらすウィルスさえも「悪」です。
でもウィルスに悪意があるわけじゃないんですけどね。
サーセイもこう言っていました。
「病原菌に悪意はなくとも退治するでしょ?」
そういう理屈からすれば、夜の王も当然「悪」とみなします。
ならば贈り物を与える「顔のない男」はどうでしょうか。
誰もアリアやジャクェンを「悪」だとは思わない。
キャラクターの位置づけによって受け取り方が異なるという良い例です。
穢れなき軍団とホワイトウォーカー
「この2つが何か?」
・・・と思われるかもしれませんが、このように指摘してる人もいます。
「どちらも赤ん坊を犠牲にしていた」
穢れなき軍団は弱さを克服するため、母親の前で赤ん坊を殺害すると言っていましたね。一方、夜の王はクラスターの息子(生まれたばかりの赤ん坊)をホワイトウォーカーとして変化(へんげ)させました。
どちらも赤ん坊の命を犠牲にしていたということ。
そして穢れなき軍団もホワイトウォーカーも命令に従うのみです。
つまり、デナーリスが率いている穢れなき軍団と夜の王が率いているホワイトウォーカーは、基本的に違いはないということです。
◆余談:物語は既に起きたことを繰り返してる?◆
話が逸れますが・・・。
「夜の王には未来が見える能力がある」と思っていましたが、「夜の王は過去を見ている」という意見があるんですね。
これはブランも然りです。
夜の王はジョンたちがイーストウォッチへ来ることがわかってたため、「未来を知ってた」と私は単純にそう思っていました。
そのヒントとして、鴉でイーストウォッチを偵察していたブランは、既にそこへ乗り込んだジョンたちの姿を見ていたシーンがあったからです。
このことから、ブランは未来を見る能力を持ち、夜の王も同様であろうと。
しかし、それらは「未来ではなく既に起っていた過去の出来事」という視点。
ブランとホーダーの件で、現在と過去が繋がってループが完成してましたね。
それと同じじゃないか?ということです。
全ては既に起きたこと。
夜の王は過去の出来事に関与せず、粛々と再現してるだけなのかも?
物語は現実の世界と同様に未知の未来へと進んでいるように思ってますが、「実はもう変えられない過去を繰り返している」ということならどうでしょう?
第六章の予告編の時、ブランのナレーションで「これから何が起きるのか知る術はない」と言っていました。
それは視線逸らし、引っ掛けだったのかもしれませんねぇ(苦笑)
やはりループを完成させるのがブランの役割なのかも。
んん~、OPクレジットで輪が回ってるのはそういう意味なのかなぁ~??
メビウスの帯とかですかね?
メビウスの帯は、表だったものが裏となり、裏だったものが表になりますよね。しかもそれは繰り返される無限大=「∞」というカタチになります。
「光と闇」「善と悪」もそうであると、GRRMは表現したがってるのでしょうか?
★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜★