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ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」をより楽しむことを目指しています。写真の合成加工作品も掲載。

善悪は誰が決めるのか?@ゲーム・オブ・スローンズ

第七章まであと二週間ですね。
「ゲーム・オブ・スローンズ」にほぼ特化したブログとなって第六章が終わってから、「ブログ更新を滞らせない」という個人的な目標によりネタ探しに明け暮れましたが、なんとか達成できそうです(苦笑)

今回はちょっとした雑感みたいなもので、個人的な考えを書きたいと思います。

ご存知の通り、原作者のGRRMは白黒を明確に分けることを嫌っています。
絶対の善・絶対の悪はなく、すべては灰色であると。
私たちは、ハリウッド映画や娯楽映画、娯楽ドラマなどで「絶対的な善」=「英雄」というものを見慣れています。
その構図を「ゲーム・オブ・スローンズ」にも当てはめようとしていたかもしれません。
しかし、第一章で主人公扱いだったエダード・スタークが身勝手で我がままなジョフリーに呆気なく処刑されてしまうのを見て、呆然としてしまったことでしょう。

「でもきっと、スタークはジョフリーへの復讐を果たすだろう!」


しかし、ロブも裏切りによって殺害された。
「一体、正義はどこにあるんだ!!」と憤る。
これですね、GRRMの世界観(苦笑)
「そんなものは世の中にはないんだよ」

第六章でヴァリスはハーピーの息子たちに協力する女性からの言い分を聞きました。
「異国から来た者たちが私たちの国を侵略している」
ヴァリスはそれを否定しませんでした。
「あなたの立場での見方はそれで合っている」と。
次いで「お互いが相手の見方をする必要がある」と告げました。

視聴者の多くは、デナーリス側の視点でハーピーの息子たちを見ていたと思います。
もしも逆ならば?
そして、これはホワイトウォーカーにも当てはまるだろうと思います。

北の壁を建てた目的は、北に人間が侵入してこないようにするためであったら?
森の子らやホワイトウォーカーの視点で考えると、壁は北を人間から守るものであったかもしれません。
壁ができた際に北に取り残された最初の人々の子孫=野人に対し、大目に見ていた部分はあるかもしれない。
けども、壁の南側へ入ってくる野人によって、ナイツウォッチは壁設立当初の目的とは異なり、野人を排除しようと壁の北側へ入り込むようになった。
「うぜぇ~!野人がいるせいで人間が勝手に侵入してきている」byホワイトウォーカー

マンスレイダーは、恐らくそれをナイツウォッチの時に察知したのかもしれません。

人間の視点で見れば、人間を殺し人間を攻撃する亡者として蘇らす夜の王=悪者。
しかし、逆の視点で見ると、壁の北に侵入してくる人間=悪者。

これはドラマ上の話だけではありません。
リアル社会に於いても同様です。
自分たちを脅かす存在は「悪」とみなします。
戦争などは最たるものですね。
ですから、プロパガンダで相手への憎しみを煽り立てます。

第三章、血染めの婚儀に関して、ティリオンは父タイウィンに言いました。
「寝首をかくのは戦争だけれど、婚儀にやることだろうか?」と。
タイウィンはこう言いました。
「戦争を早く終わらせた。より多くの犠牲を生じさせる前に終わらせることができた」
・・・これ、どこかで聞いたことのある言い分ですよね。
アメリカが先の戦争に於いて核兵器を使った言い分がそれです。
「タイウィンがやったことはアメリカのソレと同じということですね」とアメリカのファンに言ったら、どう反応するんだろう?と思います。


スターク家に感情移入していると、タイウィン(フレイやボルトン)の行為は許せないと感じたはずです。
何の罪もないお腹の子までも殺害したのですから。
けれども、タイウィンの視点で考えれば、「早く戦争を終わらせた」は善なんですよ。
アメリカの言い分と同じ。

それとも「タイウィンが直接手を下したわけじゃない!フレイやボルトンがやった」と言うでしょうか?
彼らは先の戦争でのソ連と同じですよね。
アメリカと手を組んで日本との不可侵条約を反故にしたわけですから。
忠誠や誓いは、現代で言うところの「条約」です。

GRRMはそれらを物語の中に当てはめたのかはわかりません。

アメリカの立場からすれば、建前では少なくとも核兵器使用は必要悪だったのでしょう。
(※実際はそうではありませんでしたが)
しかし、戦争ですから自分たちは「善」「正義」という構図は崩れない。
その時代の戦争前は、世界的に「侵略する国」「侵略される国」が存在しました。
侵略理由は当然ありますが、侵略される側にとっては侵略者は「悪」です。
すると、ドラマの中のハーピーの息子たちは、侵略に抵抗する者たちという風に捉えることができ、一概に「悪」とは言えなくなります。


どこに視点を持ってくるかで、こんなにも善悪は曖昧になるものです。
サーセイが「勝つか死ぬかよ」と言いましたが、戦争はその通りです。
「勝てば正義」という言葉を聞いたことがあると思います。
スポーツのような勝敗はありません。

戦争嫌いなGRRMの皮肉。
こんなにも物語に盛り込まれているんだなぁ~と感じた今日この頃です(苦笑)








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